雑巾(4)
雑巾が村にやって来たのは雑巾がまだ赤子の時でした。
村で一番大きな一本杉の下に捨てられていました。
捨てられたというより置かれていました。
揺り篭に大事に入られており、紙には「雑巾」とだけ書かれておりました。
雑巾を最初に見つけたのは村の和尚でした。
「雑巾」と書かれた紙を見て一つの疑問が生じておりました。
これは名前なのだろうか。
和尚は名前には心や神が宿ると考えていたので、どういった意味が込められているのだろうかと考えました。
しかし、何も思い当たることが無かったのです。
何せ「雑巾」ですから。
和尚は村の者を集め、誰が赤子を置いていったか、雑巾を名前にするかどうかを決めることにしました。
赤子を置いて行く者を見たものは村にはおりませんでした。
そして、名前を「雑巾」と呼ぶのは良くないとなりましたが、紙に「雑巾」と書かれていたので、それは親が決めた名前かもしれないから「雑巾」にしようということになりました。
しかし、和尚は雑巾を呼ぶときは「キン」と呼んでおりました。
理由は簡単です。
ただ、人の名前を呼ぶのに「雑巾」は相応しくないと思ったからです。
続く
2 件のコメント:
「雑巾」って書いた紙、面白いな。
ってか、親が決めようが神様が決めようが、
「雑巾」って名前はあかんやろ。って思う奴おらんだんかいって突っ込みたくなりました。
どーも、sato4です。
雑巾って書いた紙が後々ミソなんすわ~。
て、言わん方が良かった?
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