2007/08/29

雑巾(4)

雑巾が村にやって来たのは雑巾がまだ赤子の時でした。

村で一番大きな一本杉の下に捨てられていました。

捨てられたというより置かれていました。

揺り篭に大事に入られており、紙には「雑巾」とだけ書かれておりました。

雑巾を最初に見つけたのは村の和尚でした。

「雑巾」と書かれた紙を見て一つの疑問が生じておりました。

これは名前なのだろうか。

和尚は名前には心や神が宿ると考えていたので、どういった意味が込められているのだろうかと考えました。

しかし、何も思い当たることが無かったのです。

何せ「雑巾」ですから。

和尚は村の者を集め、誰が赤子を置いていったか、雑巾を名前にするかどうかを決めることにしました。

赤子を置いて行く者を見たものは村にはおりませんでした。

そして、名前を「雑巾」と呼ぶのは良くないとなりましたが、紙に「雑巾」と書かれていたので、それは親が決めた名前かもしれないから「雑巾」にしようということになりました。

しかし、和尚は雑巾を呼ぶときは「キン」と呼んでおりました。

理由は簡単です。

ただ、人の名前を呼ぶのに「雑巾」は相応しくないと思ったからです。




続く

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

「雑巾」って書いた紙、面白いな。

ってか、親が決めようが神様が決めようが、
「雑巾」って名前はあかんやろ。って思う奴おらんだんかいって突っ込みたくなりました。

sato4 さんのコメント...

どーも、sato4です。
雑巾って書いた紙が後々ミソなんすわ~。
て、言わん方が良かった?