雑巾(3)
松明の明かりで照らされた雑巾の家はとても明るく、まるで火事にでもなっているかのようでした。
その雰囲気の中、微動だにしない雑巾の家はなかなか不気味なものでした。
「雑巾!家から出て来い!」
村人の誰かが言いました。
しかし、反応はありません。
村人たちは額から汗が吹き出しておりました。
それは松明の熱からくるものなのか、恐怖からくるものかわかりません。
「俺が家に入る」
声を震わせながら喜之助は言いました。
村人たちは一斉に喜之助の方を見て、喜之助の動く様をじっと見ていました。
それは異様な光景でした。
まるで悪魔に出会うかのように、地獄の扉を開けるかのように
村人はとてつもない緊張感の中、喜之助の行く末を見届けておりました。
たかが、一村人である雑巾。
しかし、村人たちにはされど雑巾なのです。
目立たなかった雑巾がいつも何をしているかを知っている村人はいません。
わからないからこそ、恐れも多いのです。
松明のぱちぱちという音だけが静かに聞こえる中、喜之助は静かに扉へと歩み寄り、静かに扉を開けました。
続く
2 件のコメント:
うまいなー。
視点がぶれてへんから、
読みやすいわー。
楽しみにしてます。
どーも、sato4です。
読みやすい?
それならいいんやけど・・・
次を楽しみにしてください。
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